米国市場全体に投資ができることで有名なVTIについて解説します。
高配当米国株ETFとして有名なSPYD、VYMの配当利回りはそれぞれ3.5%〜5%、2.5%〜3.5%。
一方、VTIの配当利回りは1.6%〜2.2%とそれほど高くはありません。
高配当米国株ETFを中心に投資し、分配金再投資により複収入源の確保、そしてセミリタイアを目指している私ですが、VTIへの投資も行なっています。
そんなVTIに配当利回りや株価の推移等まとめていきます。
米国株ETFを中心とした高配当株への投資を始めたきっかけ、私のポートフォリオについては以下をご覧ください。
米国市場全体に分散投資する米国株ETF『VTI』とは
VTIはバンガード社が提供する米国株ETF。
バンガードとは
米国ペンシルベニア州に本拠を置く世界最大級の運用会社。「インデックス・ファンドの父」として知られる創業者のジョン・ボーグル(1929年~2019年)は1975年にバンガードを創立し、1976年に現在S&P 500インデックス・ファンドとして多くの人に知られる世界初のインデックス・ファンド「ファースト・インデックス・インベストメント・トラスト」を設定。
VTIの特徴としては構成銘柄数が3,637と、米国市場全体に広く分散投資している点。
SPYDやVYMと同様に米国株ETFにおいて人気の銘柄です。
現に米国上場ETF全体でみてもSPY、IVVに次ぐ3番目の純資産を誇り、日本円にして運用額は12兆円を超えるほど(2019年6月)。
そんなVTIに関して具体的な5つのポイントを見ていきましょう。
- 構成銘柄
- 業種別構成比率(セクター比率)
- 分配金利回り
- 株価推移
- 低コスト
構成銘柄
VTIを構成する上位10銘柄を見ていきましょう。(2019年9月)
銘柄名 | 業種 | 組入比率(%) | |
1 | Microsoft Corp.(マイクロソフト) | テクノロジー | 3.5 |
2 | Apple Inc.(アップル) | テクノロジー | 2.8 |
3 | Amazon.com Inc.(アマゾン) | テクノロジー | 2.7 |
4 | Alphabet Inc.(アルファベット) | テクノロジー | 2.2 |
5 | Facebook Inc.(フェイスブック) | テクノロジー | 1.6 |
6 | Berkshire Harhaway Inc.(バークシャー・ハサウェイ) | 金融 | 1.4 |
7 | Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン) | ヘルスケア | 1.3 |
8 | JPMorgan Chase & Co.(JPモルガン) | 金融 | 1.2 |
9 | Exxon Mobil Corp.(エクソンモービル) | 石油・ガス | 1.1 |
10 | Visa Inc.(ビザ) | 金融 | 1.0 |
誰もが一度は聞いたことがある有名企業が並んでいますね。
業種を見てわかります通り、上位10位はテクノロジーと金融でほぼ占められています。
特に、2位から5位はGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)で有名な巨大IT企業です。
4位のAlphabetは2015年に設立された、Googleをはじめとしたグループ企業の持ち株会社。
高配当米国株ETFのSPYDやVYMは、このようなテクノロジー企業が入っていませんでした。
理由はこれらテクノロジー企業は、利益は配当ではなく、開発費や投資に回しており、高配当銘柄でないため。
特にAmazonは、何年にも渡り積極投資による赤字決算を続けていました。
利益を投資し、事業を拡大し続け今のような世界中で利用されるサービスになったのですね。
SPYDやVYMではカバーできない企業に投資ができる。
これがVTIをおすすめする理由です。
業種別構成比率(セクター比率)
業種(セクター) | 比率(%) |
テクノロジー | 20.4 |
金融 | 19.4 |
消費者サービス | 13.8 |
資本財 | 13.6 |
ヘルスケア | 12.9 |
消費財 | 7.8 |
石油・ガス | 4.7 |
公益 | 3.2 |
素材 | 2.3 |
通信サービス | 1.9 |
上位5位の「テクノロジー」「金融」「消費者サービス」「資本財」が10%以上を超えています。
構成銘柄でもありましたように、「テクノロジー」「金融」の比率が、およそ20%と非常に高い割合を占めています。
そして、「公益」「素材」「通信サービス」がかなり比率として低くなっています。
「テクノロジー」「金融」「資本財」は不況時には弱く、好景気時に強いという特徴があります。
このような偏りはVTIのみへの投資となると、バランスに欠けますが、SPYDやVYMを組み合わせれば、かなり有用なポートフォリオになるでしょう。
分配金利回り
分配金は年に4回(3,6,9,12月)。直近の分配金は$0.7で分配利回りは1.87%です。
ここ10年での平均利回りは1.8%〜1.9%。
株価の下落が生じると2%を超えてきますね。
2009年のリーマンショック時や昨年株価が暴落した際には、配当利回り2.2%を超える利回りを記録しています。
直近の分配金は次の通り。
■2019
日付 | 分配金(ドル) |
2019/09/16 | 0.7 |
2019/06/17 | 0.5472 |
2019/03/25 | 0.772 |
合計 | 2.0192 |
■2018
日付 | 分配金(ドル) |
2018/12/24 | 0.7209 |
2018/09/28 | 0.7142 |
2018/06/22 | 0.6034 |
2018/03/22 | 0.5661 |
合計 | 2.6046 |
SPYD、VYMと同様に分配金が増加しているのがわかります。
株価推移
株価の推移(10年間)は以下の通り。
2001年から2018年の取引値、分配金をまとめます。
- 2001年3月 取引値 $56。分配金 $0.14
- 2016年3月 取引値 $106。分配金 $0.48
- 2017年3月 取引値 $122。分配金 $0.542
- 2018年3月 取引値 $133。分配金 $0.603
- 2018年3月 取引値 $135。分配金 $0.721
分配金が17年でおよそ5倍に、取引値は15年でおよそ2.4倍になっています。
これは、今購入するVTIが「将来的に高配当化している」ことが期待できる数値ではないでしょうか。
そして取引値は大きく上昇していないように見えますが、分配金再投資をしていれば3〜4倍になっていることになります。
米国市場の3,600銘柄へ分散投資ができ、これだけのリターンがあるVTI、ポートフォリオに入れるべきおすすめ銘柄です。
低コスト
ETFや投資信託への投資で気になるのが信託報酬などのコスト。
VTIの総経費率は0.03%とかなり低コストで運用が可能。
長期投資をする際は信託報酬などの手数料が高いと、パフォーマンスを徐々に毀損するので、
しっかりと総経費比率が低い銘柄を選ぶようにしましょう。
なお、手数料が業界最安値水準のSBI証券がおすすめです。
NISA口座であれば取引手数料も無料。
VTI分析まとめ
米国株3,600銘柄へ広く分散投資できるVTI。
高配当米国株ETFで代表的なSPYD、VYMとは異なる構成銘柄・セクター比率を有しています。
VTIだけでも成長が見込める米国市場ですが、SPYD・VYMと組み合わせて投資をすると、よりバランスの良いポートフォリオになるでしょう。
VTIと同様のETFにVOO(S&P500連動)がありますが、上位の構成銘柄・セクター比率は、VTIと大きく変わりませんが、銘柄数は500銘柄と1/7。
ただ、分配利回りや値上がり率、経費率に優劣はありませんので、どちらか迷った場合は好みでVOOを選択してもよいかもしれません。
ETFは個別株と比較して刺激は少ないですが、長期投資を行うには分散性・成長性ともに安心して投資することができる商品です。
これからも積極的に買い進め、さらに分配金再投資で資産構築を行いたい銘柄。
分配金による複収入源に育て不労所得となるインカムゲインを生み出す資産の1つに加えてみてはいかがでしょうか。
個人的にオススメできる(私のポートフォリオに加えている)ETFは、SPYD・VYM・VTIの3つです。


VTIをはじめとした海外株式・ETFへの投資は、SBI証券を利用して手数料等コストを抑えましょう。
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